腹黒王子に秘密を握られました
あー、もう、むかつくむかつくっ!!
〝恋人らしくかわいく〟なんて、生まれてから二十七年間一人身の私に理解できるはずもない。
どうしろっていうんだ、くそう。
ギリギリと歯ぎしりしながら、髪をかきむしりため息をつく。
そんな様子を面白そうに眺める金子と向かい合い、ゆっくりと息を吸い込んだ。
金子のスーツのそでを指先できゅっと掴み、困ったように少し眉を下げる。
背の高い金子を見上げ、上目遣いで小首を傾げ、うるんだ瞳で瞬き。
「金子さん、お願い。それがほしいの……」
昨夜読んだ神同人誌の、意地悪な攻めにおねだりするけなげ受けのセリフをそのまま引用。
これでどうよ! と、こてんと首を傾げたまま上目使いで金子の顔をみつめ続けると、長い腕がこちらにのびてきた。
「わ……っ」
大きな手のひらに視界が覆われる。びっくりして声を漏らした次の瞬間……。
「いっ、いたいいたいいたいいたいいたいっ!!」
完璧に決まったアイアンクローに絶叫した。