腹黒王子に秘密を握られました
 

「お前くじのために、出社前にわざわざこんなことまでくじ引きにきたのかよ」

「そうですけど?」

「あいかわらず意味わかんねぇな」

「別にわかってもらいたくないんで、ほっといてください」

そう言いながら、道路に落ちていたゴミが目につく。

めっちゃ気になる。拾いたい。
でもこのあと内覧にいくから、ゴミを持ったままお邪魔するわけにはいかないし、あとで帰る時に拾おう。
そう心に決める。

「お前、またゴミを拾って徳を積もうとか考えてんのか」

「悪いですか?」

「くじ、欲しいの出なかったんだ?」

「ラバストは出ましたけど、A賞のフィギュアはゲットできずでした。もうちょっと徳を積んで再チャレンジします」

そうやって、もう一回。あと一回だけと言っているうちに、月末ピンチになって泣くことになるんだけど。
必ず迎えに行くから、それまで待っててね! と、くじの置いてあるコンビニを見つめて心の中で叫ぶ。

そんな私を見て、金子はふっと小さく笑った。
どうせ二次元に金をつぎ込むオタクをバカにしてるんだろうなと思ったけれど、金子は短く笑っただけで、なにも言わなかった。


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