腹黒王子に秘密を握られました
 

「はい。まだ付き合ったばかりなので、きっと報告するのが恥ずかしかったんじゃないですかね」

いやいやいやいや。
なに勝手なこと言ってんの?

電話の向こうでおかあさんが狂喜乱舞する奇声が聞こえてくるんだけど。
やだ、ちょっとどうすんの、本気にしてるよ絶対。

ひぃぃぃ。
今日の実家の晩ご飯はお赤飯に決定だよぉ。
この調子だと、近所に赤飯配っちゃうよぉ。

「はい、ぜひそちらにご挨拶に伺いたいと思ってます」

絶対伺いませんけれども! 
断固拒否しますけれども!

そう思って首が千切れそうな勢いで横にぶんぶんと振っていると、金子がこちらをちらりと見た。

「お前、再来週の連休の予定は?」

うちの会社は毎週水曜日と隔週の火曜が休みだ。
再来週は火曜も休みの週なので、二連休になる。

「えっと、来週末映画が公開になるので、一日映画館に籠ってる予定ですけど」

「よかった。空いてるな」

いや、空いてねぇから!
人の話聞いてたか、オイ!

「じゃあ再来週の火曜日に伺わせてもらいます」

いやいやいやいや、勝手に約束すんなそこぉ!
絶対行きたくない。
私、拒否権発動するからね!


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