腹黒王子に秘密を握られました
「まぁ、面白かった。青春ってかんじで」
「でしょ? 面白いんですよ! 努力根性友情! 必死に汗を流す男子高校生に腐女子は滾るんですよ!」
「腐女子は滾るってどういうことだよ」
「あ、腐要素がなくてももちろん面白いし、この概念を強要するつもりももちろんないですけど、一度こっちに足を踏み込むと各エピソードが何倍も楽しめるっていうか、行間に無限の夢がつまってるっていうか。私はですねー、このお気に入りのキャラが左固定ならなんでも美味しくいただけますね。総攻めサイコー! ムシャァ! みたいな」
「言葉の壁が分厚すぎて、何を言ってるのかさっぱりわかんねぇ。ってか、あの映画のどこに腐った要素があったんだよ」
「あるじゃないですか、端々に!」
「ねぇだろ!」
「金子さんの目は節穴ですか! いいですか、原作でもアニメでも、誰と誰が付き合ってるなんて微塵も描かれてないですが、付き合ってないとも書いてないんですよっ!!」
私が口にした重大な真実に、金子は黙りこむ。
きっと目からうろこが落ちてるんだろう。
「……腐女子の読解力がすごすぎて、理解不能だ」
金子はぽつりとつぶやいて、ひとりため息をついた。