腹黒王子に秘密を握られました
「だだだだだって、実家に挨拶って!!」
「そうだろ? 付き合ってるって宣言して遊びに行くんだから」
「まさか、娘さんをくださいとか、言う気じゃないですよねっ!?」
「言ってもいいなら言うけど?」
「言っていいわけないだろうがっ!!」
「残念」
顔を真っ赤にして叫ぶ私に、金子がクスクスと笑う。
ほんと、勘弁して。
何考えてんのこいつ。
人をからかうのもいい加減にしてほしい。
「まぁ、ちゃんと彼氏がいるって言っておけば、実家に帰ってこいとも言われないし、強引に見合いさせられることもないだろうし、お前も都合がいいんじゃねぇの?」
「それは、そうですけど……」
「じゃあ、お互い利害の一致ってことで、ちゃんと恋人のフリしろよ」
金子はにやりと笑いながら、長い指で私の頬をするりとなでた。