腹黒王子に秘密を握られました
「金子くん、こんな漫画と現実の区別もつかない娘と付き合って大変じゃないか?」
お父さん、ちゃんと二次元と三次元の区別はついてるからっ!
ただ三次元より二次元の方が好きすぎるだけだからっ!
「そうですね。最初はおどろきましたけど。でも好きなことに一直線で無邪気に目を輝かせる姿は、すごく可愛いと思います」
「な……っ!!」
さらりと涼しい顔でそんなことを言う金子に、目玉が飛び出そうになる。
「二次元に夢中になりすぎて放っておかれると、少し妬けるけどな」
黙り込んだ私に意地悪な流し目を投げ、ダメ押しのセリフを付け加える。
友野莉央。混乱のあまり機能停止しました。
しばらくお待ちください。
「莉央、顔が真っ赤ですけど?」
「お母さん、それいちいち言わなくていいからぁっ!!」
叫ぶ私を見て、お父さんと金子が肩を震わせて笑う。
なんなのこの状況。
私の実家のはずなのに、完全アウェーなんですけど。
私のサポーターゼロかよオイ。
「金子さん、もう帰ろう。東京帰ろう」
泣きながら金子の服のそでをひっぱって耳打ちすると、ん? と金子が首を傾げた。
「ん? 金子さん?」
そう言って微かに首を傾げ、こちらを見下ろす。