筆舌に尽くし難い。
あたしが軽く微笑みそれを告げると小さな拍手と賛同、嬉しそうに立ち上がり先輩は席を外す。
パタンと閉じられたドア。糸が切れたように同時につく溜め息。途端に弦が切れてしまって奏でる事が出来なくなった楽器のようにあたしの身体はくたりと机に俯せになり、情けない姿を晒しながら静かに部屋に融けてゆく。
忘れていた、そう呟き顔をあげて付けていた眼鏡も外し疲れを取るように目を押さえもう一度深々と溜め息を溢してしまう。
「………なんであたし、またこんなとこ来てるんだろ」