筆舌に尽くし難い。

そんなことを口に出してしまえば、あたしは間違いなく袋叩きに遭うだろう。只でさえ、常にパートナーとして仕事をしているだけで周りの女子からの嫉妬や誹りを受けているのだから。
価値観も人間性も何もかもが合わない、寧ろ対極の位置にいるのにも拘わらずデザイナーとして傍に居続けるのは切っても切れない何かできっと繋がれているから。
それさえなければ我慢なんかしないで、早々に事務所も退職して全てのことから逃げ出して、一人静かにまたデザイン画を思案している筈だ。

「…新川、大丈夫か?コーヒー飲めるっけ?」
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