ワケあり恋愛事情⁉︎
「………何かあるのですね?」


ドアの前で雨宮の歩く足が止まった。


「いえ、大丈夫よ…」


「お嬢様、私はお嬢様の専属メイドでございます。お嬢様にお仕えする身として1番近くで見守ってきました。ですので、お嬢様のお考えになっていることも……なんとなく、わかります」


私は急に胸が苦しくなった。


締め付けられるように苦しいのに、なんだか暖かい。


「本当に大変な選択だと思われます。しかし……本当にこのままでよろしいのですか?今ここで決断したことは、もう一生変えられません」


雨宮の言葉1つ1つが重く感じる。


胸にしみる。


自分自信に問いかける。


私はこのままでいいの…?


「私は当主である、お嬢様のお爺様に従わなければなりません。お嬢様の願いを叶えたいと思っても…勝手な行動は許されない身です。お嬢様の応援をしたくても…」


雨宮が今までに見せたことのない顔で笑った。


困ったような笑い顔。


いつもキリッとしている雨宮だからこそかもしれない。


気持ちが痛いほど伝わってくる。


「大丈夫よ、雨宮の立場上仕方ないのだから。……さあ、行きましょう?皆様お待ちだわ」


雨宮はコクリと頷いてドアの取っ手に手をかけた。


ゆっくりと目の前が広がっていく。


向こう側の人の視線は一斉に私に集まって、たくさんのカメラも向けられた。


「お嬢様、私はいつでもお嬢様の味方です。心の中では誰よりも応援しています」


「ええ、ありがとう」


私は一歩足を踏み出し、眩しい世界へ飛び込んだ。

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