ワケあり恋愛事情⁉︎
「お前はこの間の…」


お爺様も覚えているようで、とっさに私の前に出る。


竹刀袋を背中に背負って、竹刀を片手で持っているところを見ると…。


どう考えても、警備員の人達を倒してきたとしか考えられない。


「何の用があってここにきた…」


「菜々保を取り返しにきた」


「郁斗…?」


2人の迫力は周りを圧倒して、騒いでいた記者の人達もみんな黙ってその場を見つめている。


「菜々保は琢磨と婚約するのじゃ」


「俺はそんなの認めねぇ」


「世の中そんなワガママが聞くと思っておるのか!」


「………確かに俺のワガママかもしれねぇ。でも俺は菜々保を助けたい。菜々保の1番近くで守ってやりたい。菜々保を想う気持ちは、ここにいる誰にも負けねぇつもりだ」


「郁斗…」


ああ、どうしよう。


ダメなのに。


こんなこと許されないのに…。


私、このまま郁斗にさらわれたいって思ってる。


この婚約パーティーなんか全部ぶち壊して2人でどこかへ行けたらいいのにって思っちゃってる。

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