ワケあり恋愛事情⁉︎
「菜々保はどうなんだよ」


「え…」


「俺は菜々保が望むならなんだってする。ここから出て行けって言うならそれもありだ」


郁斗の真っ直ぐな瞳に見つめられて、身動きが取れない。


「そんなの決まっておる。菜々保は…」


「行きたい」


「菜々保…?」


ごめんなさい、お爺様。


私、やっぱりダメみたい。


この人を愛せずにはいられない。


私にはこの人さえいればなんだっていい。


「私も!郁斗と一緒にいきたい!」


その瞬間、郁斗の真剣な顔が、いつものようにニッと笑って、私に手が伸びてきた。


「行こう、菜々保」


私は差し出された手を握って、2人で走り出す。


綺麗なドレスを巻き上げて、ヒールの靴なんて脱ぎ捨てて、郁斗を信じて走る。

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