キス、のち涙。
それなのに・・・・・・病気は、治らなかった。

「脳腫瘍」だって・・・・・・。


親を、また泣かせてしまって・・・・・・。


神様は、意地悪だって・・・・・・生まれて初めて思った瞬間だった・・・・・・。



病気のことを聞かされたとき、俺・・・・・・お医者さんに向かって、こう言ったのを覚えてる・・・・・・。




「あんた、医者なんだろ?!」

「金ならいくらでも払うから、病気ぐらい治してくれよ!!!」

「なんでこんな病気、治せねぇんだよ?!」




・・・・・・そう言っても、無駄だった。

もう治らないって・・・・・・。

ダメだって・・・・・・。


その日の夜、親と一日中泣いたのを、今でも覚えてる・・・・・・。



「ごめん」って謝っても、どうにもならなかった。

俺・・・・・・死ぬんだなって、思ったよ・・・・・・。


もうすぐ「死」が待っているって、自覚を持った。


俺の心は、闇に包まれたんだ・・・・・・。
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