今のままで
三人で過ごしたい
郁斗のお母さんに『早くうちのお嫁さんにいらっしゃい』っと言われて気持ちも楽になった。
お店の定休日にはホテルへ式の打ち合わせや衣装合わせに行きあっという間に12月末。
今夜はクリスマスイブ
いつものようにお店で郁斗にオムレツを作る。

「郁斗、今夜仕事遅いの?」

「多分そんなに遅くならないと思うけど…」

「今夜ね実家の方に帰って来て?」

「え?実家?」

「うん、お義母さんにお邪魔するって言ってあるから、食事あちらで食べよう?」

「マジかよ…今日はイブだぞ?…」と肩を落とす。

郁斗はがっかりしてるみたい?でも、郁斗のお母さんと3人で過ごしたい。
高校まではいつも両親と3人でクリスマスを過ごしていた。
大学時代はバイトを入れて家には居ないようにしていたから、両親には寂しい思いをさせたままだった。
だから、今度は郁斗のお母さんと3人で過ごしたい。

「ね、3人で食事しよう?」

「分かったよ…美寿々、有難うお袋も喜ぶよ」と私の額にキスを落とす。

「それから…年末年始も…」郁斗の実家で過ごそうと言おうとして郁斗に遮られる。

「あっ年末年始はダメ!」

「えーダメなの?」

「年末年始はお袋、いつも伯父さんの所に行くんだよ」

「そうなの?」残念だな…

「あぁだから二人で過ごそう?」

「うん、分かった…」

「じゃ行ってくるよ」

「いってらっしゃい」

郁斗はチュッと軽いキスをして出掛けた。

「イヤーン朝から熱いわ!今夜は雪が降りそうなのにここだけは熱いったらありゃしない」と大きな声はミチルさんだった。

見られていたようだ…

「ミチルさんお帰りなさい」

「美寿々ちゃん幸せね?」

「はい…」と微笑んでコーヒーを淹れる。

「あっミチルさんジャム作ってありますよ」

「有難う。トマトのジャム女性のお客さんに評判いいのよ」

「本当ですか?嬉しい」

「美寿々ちゃん、ジャム売ったら?」

「売るなんてとんでも無いです」右手を顔の前で左右に振る。

「絶対売れるわよ」

「有難うございます。でもそんなに数作れないんです。トマトの数もしれてますし、お店もあるから色々作る時間なくて…大切な人たちに食べてもらえるだけで嬉しいですから。それより今日はビーフシチュー煮込みますからお店に行く前に寄って食べていって下さい」

「うわぁーうれしい。美寿々ちゃんのビーフシチュー最高なのよね?有難う。じゃ後で寄るわ」と帰って行く。

「おやすみなさい」


< 11 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop