今のままで
前からずっと…
今日は定休日、朝起きるとコーヒーを淹れ香りを楽しんでから1日を始める。
普段掃除に時間が取れないので休みの日は掃除や洗濯物で午前中が終わってしまう。
午後からは食品の買い物にでかける。
気がつけばスーパーまで鼻歌を歌っていた。
郁斗に私じゃないとダメだと言われて嬉しかった。
私って単純だな…

「うーん何作ろう?」

郁斗が『ご飯作ってといて』って言ったけどなんにしよう?

「よし!今日は和食にしよう」

たらのホイル焼、茶碗蒸し、きんぴら、豆腐とわかめの味噌汁、買い物を済ませると郁斗の部屋に行き掃除を済ませると夕飯の準備をする。
一度自分の部屋に帰り洗濯物を取り込んでいるとスマホがなる郁斗からだ

「もしもし郁斗?」

『後15分くらいで着くよ?腹減った飯出来てる?』

「うん気をつけて帰ってきてね?」

鍋の火付けなきゃ慌てて郁斗の部屋に行き圧力鍋に火にかける。
ホイル焼を魚焼き器に入れスイッチを入れる。
ガチャガチャと鍵が開く音台所から顔を出し玄関を見る。
郁斗が帰って来た。

「郁斗お帰り」

郁斗は台所まで来ると「ただいま」と私を抱き寄せる。

私の心臓が早鐘を打つ。

「ご飯出来てるよ着替えてきたら?」

「もう少しこのまま」

郁斗は私をさらに抱きしめ

「もう我慢しないから、美寿々が好きだ!ずっと好きだった」

「郁斗…」

私も好きだよ郁斗が好きになってくれる前からずっと…
体が離れ郁斗は微笑む。

「あー腹減ったー何作ってくれたの?」

「茶碗蒸しだよ」

「うどん入ってる?」

以前、郁斗が風邪を引いた時に茶碗蒸しにうどんを入れて作ってから郁斗は茶碗蒸しにはうどんを入れてほしいというようになった。

「うん入ってるよ」

「ヤッター!じゃ着替えてくる」

ご機嫌に着替えに部屋に入っていった。
ほんと子供みたい。
着替えを済ませて戻って来ると「おっホイル焼もあるじゃん」と喜んでくれる。

「鱈だよ」

「良いねー」

郁斗は椅子に座ると手を合わせて「いただきます」と言い食べ始める。

「やっぱり美寿々の飯が一番」

「ありがとう」郁斗が美味しいって言って食べてくれるのが私は一番嬉しいよ。

郁斗は本当に美味しそうに食べるそして残さず食べてくれた。

「ごちそうさま。あー腹いっぱい」

「うふふごはん3杯も食べるんだもん食べ過ぎだよ」

「美寿々が悪い」

「え?」

「美寿々の飯が美味すぎるから悪い。生姜のきんぴら美味かったー毎日でも食べたい」

「じゃ今度沢山作っとくね?」

私が作った食事を郁人と食べて郁人に美味しいと言って貰える事の幸せ…
この幸せがあれば良い…
これだけで良い…
今のままで…
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