今のままで
お墓参り
シャワーを浴びて急いで支度をして店に出る。
オーブンのスイッチを入れ開店準備をする。
「なんか体が変…」
まだ郁人に抱かれた感触が残ってる…
シャワーを浴びたのに郁斗の肌の温もりがまだ残っているみたい…
郁斗が私を好きでいてくれた。
郁斗のプロポーズに正直まだ戸惑いはある…
こんな私が本当に幸せになって良いのだろうか…
そんなことを考えているとカランカラン♪扉が開く。
「郁斗…」
さっきまで抱かれていたと思うと恥ずかしくなる。
「美寿々なに考えてるの?」
「え?」
「考えても意味ないから、俺は美寿々と結婚する。俺を幸せに出来るのは美寿々だけだから」
「私が郁人を幸せにするの?」
「そう美寿々がするの!そして俺が美寿々を幸せにする。分かったら余計な事は考えるなよ!返事は?」
「はい…」と返事をすると郁斗は満足気な顔をして「よし!」と頷いた。
「美寿々腹減った。オムレツ食べたい」
「うん、今作るね?」
オムレツを作ってる間郁斗は週刊誌を見ていた。
「結構いい感じで写ってるよなぁ」
それは私達がレストランに行った時のものだった。
レストランに入る前とレストランから出てくる時の物。
私の顔には目隠しがされているが、このお店も(花水木)載っているので私だと直ぐに分かるだろう?
『胸元にはネックレスが輝いている。郁人からのプレゼントなのだろうか?』と書かれていた。
そのおかげでジュエリーショップに問い合わせが凄いらしい。
「はい、おまたせ」と郁人にオムレツをだす。
「美寿々、トマトのせなくて良いんだけど?」と言いながらも1つ食べる。
そして「はい、あーんして」と私の口にトマトを入れ郁人は微笑む。
カランカラン♪と扉が開く音とともにミチルさんの声が響いた。
「あらーイクトー会いたかったわ」とミチルさんは郁人に抱きつこうとすると郁人は両腕を前に出しそれを拒んだ。
「ヤベーもうそんな時間か?」と郁人は時計を見る。
だが開店時間にはまだ早い。
「ミチルさん今日は随分早いですね?コーヒーで良いですか?」
「うん、お願い。最近暇なのよねぇ…」と肩を落としている。
「あっそれより郁人結婚するんですって?もうー私というものが在りながら」
ミチルさんはハンカチを噛んで悔しがり
「悔しいけど美寿々ちゃんになら私の郁人譲ってあげる。幸せになりなさい」と言ってくれる。
そして「郁人、美寿々ちゃんを幸せにしてあげてね?きっと寿も喜んでいるわ」と涙ぐむ。
ミチルさんは亡くなった父の親友で私をずっと見守ってくれている人だ。
ミチルさん… 有難う…
「ミチルさん有難う。俺が幸せにする約束するよ」と郁人が言ってくれた。
私はコーヒーを淹れて一緒に焼きたての食パンを出してあげる。
「ミチルさんこれ食べてみてくれます?」
郁人とミチルさんに昨日作ったジャムを出す。
「あぁ美味しぃ…なんだかさつま芋のような…なんだろう?こっちは…さっぱりした甘さねぇ?」
「うん、美味い、美寿々のジャム市販のより美味いってお袋も褒めてるもんな。で、なんのジャム?」と郁人が聞く。
「えーと、こっちは柿のジャム、こっちは郁人スペシャル」
「郁人スペシャル?」と郁人とミチルさんは首を傾げる。
「トマトですよ」と微笑む。
すると郁人は呆れた顔をする。
「美寿々…そこ迄しなくても良いんじゃない?」
トマトの嫌いな郁人には考えられないらしい。
「でも美味しいって言ったよね?」とドヤ顔してみせる。
ミチルさんは「本当に美味しぃわトマトのジャムクラッカーに乗せてもいいわね?お店で出そうかしら?美寿々ちゃん分けてくれる?」
「はい、いいですよ。郁人もおば様に持って行ってくれる?」
「あぁ喜ぶよ!じゃ今夜一緒に持って行こう?」
え?一緒に?…
「そうね?ちゃんとご挨拶してらっしゃいな」とミチルさんが言う。
ご挨拶…
「今日は雑誌のインタビューだけだから遅くならないと思うよ。じゃー行ってくる」と郁人は言いお店を出て行った事に私はボーとしていて気づかずにいた。
……ご挨拶…挨拶…
「美寿々ちゃん❢❢」ミチルさんの大きた声で我に返る。
「え?あれ郁人は?」
「今、出て行ったわよ!早くいってらっしゃいのキスして来なさいよ」
「キスなんてしません」と言って慌てて扉を開け叫ぶ。
「イクトーいってらっしゃい」
郁人は笑って手を降る。
あー良かった間に合って、『いってらっしゃい』が言えないと1日気分が悪いんだよね。
「じゃー私も帰って寝るわフワァー」と大きなあくびをして帰って行く。
「ミチルさんジャム用意しときますからね?出勤前に寄って下さいよ!おやすみなさい」
いつもなら午前中に一度休憩を取るのだが今日はいつもより忙しくて休憩を取れなかった。
常連さんが『おめでとう』とお祝いを言いに沢山来てくれたのだ。私は戸惑いながらもお礼を言った。
お昼を過ぎた頃、咲ちゃんにお店を頼んで近くのお寺に出掛けた。
お墓の前で手を合わせる。
「お父さん…お母さん…ごめんね…」
私は両親のお墓参りに来るといつも『ごめんね』と謝る。
両親を悲しめたままだった事を悔いているから…
「いつまで謝ってるんだ?」と背後から郁人の声がして振り返る。
「郁人どうしてここに?」
「帰ってきたら店に美寿々が居ないからここだと思ってさ」
郁斗はお前の行く所は何処だって分かると言いたげだ。
郁斗はお墓の前で手を合わせて言う。
「おじさん、おばさん、いや違うな?お義父さん、お義母さん美寿々さんと結婚させてください。必ず美寿々さんを幸せにしますから」と言い暫くして「有難うございます」と言う。
有難うございます?
「郁人?なにが有難うございますなの?」
「ん?美寿々との結婚を許すって言ってくれたからお礼を言ったんだ」
「あぁ…なるほど…」
二人顔を見合わせ「プッ」と吹き出し笑う。
お父さん…お母さん…私、幸せになってもいいのかな?
わがままばかり言って悲しませたけど許してくれる?
私、郁人が好きなの…郁人と幸せになりたい。
「きっと許してくれてるよね?私の幸せを一番に考えてくれてたもんね?」
「あぁ…きっと喜んでくれてるよ」
「うん」
オーブンのスイッチを入れ開店準備をする。
「なんか体が変…」
まだ郁人に抱かれた感触が残ってる…
シャワーを浴びたのに郁斗の肌の温もりがまだ残っているみたい…
郁斗が私を好きでいてくれた。
郁斗のプロポーズに正直まだ戸惑いはある…
こんな私が本当に幸せになって良いのだろうか…
そんなことを考えているとカランカラン♪扉が開く。
「郁斗…」
さっきまで抱かれていたと思うと恥ずかしくなる。
「美寿々なに考えてるの?」
「え?」
「考えても意味ないから、俺は美寿々と結婚する。俺を幸せに出来るのは美寿々だけだから」
「私が郁人を幸せにするの?」
「そう美寿々がするの!そして俺が美寿々を幸せにする。分かったら余計な事は考えるなよ!返事は?」
「はい…」と返事をすると郁斗は満足気な顔をして「よし!」と頷いた。
「美寿々腹減った。オムレツ食べたい」
「うん、今作るね?」
オムレツを作ってる間郁斗は週刊誌を見ていた。
「結構いい感じで写ってるよなぁ」
それは私達がレストランに行った時のものだった。
レストランに入る前とレストランから出てくる時の物。
私の顔には目隠しがされているが、このお店も(花水木)載っているので私だと直ぐに分かるだろう?
『胸元にはネックレスが輝いている。郁人からのプレゼントなのだろうか?』と書かれていた。
そのおかげでジュエリーショップに問い合わせが凄いらしい。
「はい、おまたせ」と郁人にオムレツをだす。
「美寿々、トマトのせなくて良いんだけど?」と言いながらも1つ食べる。
そして「はい、あーんして」と私の口にトマトを入れ郁人は微笑む。
カランカラン♪と扉が開く音とともにミチルさんの声が響いた。
「あらーイクトー会いたかったわ」とミチルさんは郁人に抱きつこうとすると郁人は両腕を前に出しそれを拒んだ。
「ヤベーもうそんな時間か?」と郁人は時計を見る。
だが開店時間にはまだ早い。
「ミチルさん今日は随分早いですね?コーヒーで良いですか?」
「うん、お願い。最近暇なのよねぇ…」と肩を落としている。
「あっそれより郁人結婚するんですって?もうー私というものが在りながら」
ミチルさんはハンカチを噛んで悔しがり
「悔しいけど美寿々ちゃんになら私の郁人譲ってあげる。幸せになりなさい」と言ってくれる。
そして「郁人、美寿々ちゃんを幸せにしてあげてね?きっと寿も喜んでいるわ」と涙ぐむ。
ミチルさんは亡くなった父の親友で私をずっと見守ってくれている人だ。
ミチルさん… 有難う…
「ミチルさん有難う。俺が幸せにする約束するよ」と郁人が言ってくれた。
私はコーヒーを淹れて一緒に焼きたての食パンを出してあげる。
「ミチルさんこれ食べてみてくれます?」
郁人とミチルさんに昨日作ったジャムを出す。
「あぁ美味しぃ…なんだかさつま芋のような…なんだろう?こっちは…さっぱりした甘さねぇ?」
「うん、美味い、美寿々のジャム市販のより美味いってお袋も褒めてるもんな。で、なんのジャム?」と郁人が聞く。
「えーと、こっちは柿のジャム、こっちは郁人スペシャル」
「郁人スペシャル?」と郁人とミチルさんは首を傾げる。
「トマトですよ」と微笑む。
すると郁人は呆れた顔をする。
「美寿々…そこ迄しなくても良いんじゃない?」
トマトの嫌いな郁人には考えられないらしい。
「でも美味しいって言ったよね?」とドヤ顔してみせる。
ミチルさんは「本当に美味しぃわトマトのジャムクラッカーに乗せてもいいわね?お店で出そうかしら?美寿々ちゃん分けてくれる?」
「はい、いいですよ。郁人もおば様に持って行ってくれる?」
「あぁ喜ぶよ!じゃ今夜一緒に持って行こう?」
え?一緒に?…
「そうね?ちゃんとご挨拶してらっしゃいな」とミチルさんが言う。
ご挨拶…
「今日は雑誌のインタビューだけだから遅くならないと思うよ。じゃー行ってくる」と郁人は言いお店を出て行った事に私はボーとしていて気づかずにいた。
……ご挨拶…挨拶…
「美寿々ちゃん❢❢」ミチルさんの大きた声で我に返る。
「え?あれ郁人は?」
「今、出て行ったわよ!早くいってらっしゃいのキスして来なさいよ」
「キスなんてしません」と言って慌てて扉を開け叫ぶ。
「イクトーいってらっしゃい」
郁人は笑って手を降る。
あー良かった間に合って、『いってらっしゃい』が言えないと1日気分が悪いんだよね。
「じゃー私も帰って寝るわフワァー」と大きなあくびをして帰って行く。
「ミチルさんジャム用意しときますからね?出勤前に寄って下さいよ!おやすみなさい」
いつもなら午前中に一度休憩を取るのだが今日はいつもより忙しくて休憩を取れなかった。
常連さんが『おめでとう』とお祝いを言いに沢山来てくれたのだ。私は戸惑いながらもお礼を言った。
お昼を過ぎた頃、咲ちゃんにお店を頼んで近くのお寺に出掛けた。
お墓の前で手を合わせる。
「お父さん…お母さん…ごめんね…」
私は両親のお墓参りに来るといつも『ごめんね』と謝る。
両親を悲しめたままだった事を悔いているから…
「いつまで謝ってるんだ?」と背後から郁人の声がして振り返る。
「郁人どうしてここに?」
「帰ってきたら店に美寿々が居ないからここだと思ってさ」
郁斗はお前の行く所は何処だって分かると言いたげだ。
郁斗はお墓の前で手を合わせて言う。
「おじさん、おばさん、いや違うな?お義父さん、お義母さん美寿々さんと結婚させてください。必ず美寿々さんを幸せにしますから」と言い暫くして「有難うございます」と言う。
有難うございます?
「郁人?なにが有難うございますなの?」
「ん?美寿々との結婚を許すって言ってくれたからお礼を言ったんだ」
「あぁ…なるほど…」
二人顔を見合わせ「プッ」と吹き出し笑う。
お父さん…お母さん…私、幸せになってもいいのかな?
わがままばかり言って悲しませたけど許してくれる?
私、郁人が好きなの…郁人と幸せになりたい。
「きっと許してくれてるよね?私の幸せを一番に考えてくれてたもんね?」
「あぁ…きっと喜んでくれてるよ」
「うん」