運命の出会いって信じますか?
顔を合わせた途端、そんな事を言われてしまった。

「悪い?」

私は彼をじろりと見る。

帽子を目深にかぶっているけど、今日はその顔をじろじろと見てやった。

「俺はすっぴんの方が好きだって言ったはずだけど。」

こないだのセリフを繰り返す彼。

そんな言葉を何にもないかのように言う。

それは言い慣れているって事なんだろうか。

つまり女に慣れている?

「お姉さん、いくつ?」

突然聞かれて、私は一瞬うろたえる。

私の方から聞こうと思っていた事をズバリと聞かれた。

「30歳よ。文句ある?女性にそんな失礼な事を聞くあなたはさぞかし若いんでしょうね。」

嫌味な言葉が私の口から零れ落ちた。
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