運命の出会いって信じますか?
それを打ち合わせしようと増本君は待っていてくれたみたい。
「ちょっとこの伝票のデータを開けてもらえますかね…。」
そう言いながら増本君は、空いている椅子を私の横に引っ張って来て、座り込む。
「ちょっと待ってね。…これで良かったかな?」
増本君はその画面を見てうなずいた。
下書きした様な走り書きの伝票を見ながら、指示していく。
ああ、増本君もすっかり一人前だよね…。
そう感心しながら、ふっとその姿が英輔と重なる。
2年前まではこうして一緒に仕事をしていたのは英輔だったな。
一瞬私は別の世界に入っていたのだろう。
それを感じたかのように、増本君が画面から私の方を向いた。
「分かりにくかったですか?野々村さん。」
私はハッとして、手を動かしキーボードを慌てて見る。