運命の出会いって信じますか?
私は思わず微笑んだ。

「何よ、華。気持ち悪い笑い方して。」

バツの悪そうなお姉ちゃんの顔。

今日はかなりお姉ちゃんをいじれそうだ。

いつもの仕返しが出来るかな。

また口元がつい緩んでしまう。

そこで私達はそれぞれが注文をして、それがそろう頃まで当たり障りのない話をした。

「さあ、二人とも聞きたそうだから話そうかな。」

そう言った柏木さんをお姉ちゃんと私は同じタイミングで見た。

「おいおい、姉妹で同時にこっちを見ないでくれよ。妙に迫力があって怖いよ。」

私達の鋭い目つきに余裕で笑いながら、柏木さんは話を始めた。

「俺はあの日、相田部長に時間を取ってもらって、いつも行くバーでいつものように飲んでいた。」

そんな言葉から始まった柏木さんの話。

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