運命の出会いって信じますか？
「俺はタイミングを見計らって、陽さんと付き合う事になったと単刀直入に切り出した。そして陽さんとの関係を解消して欲しいとお願いしたんだ。」

その時を思い出すかのように、ゆっくりと話す柏木さん。

「相田部長は少し驚いたようだったが、静かに話を聞いていた。何だかすべてを分かったような顔をしていたのは、先に陽さんが別れ話をしていたからだったんだね。」

優しく柏木さんはお姉ちゃんを見る。

「こんな状態のまま、正仁さんと付き合えないって思ったから…。」

お姉ちゃんが顔を赤くしながら、柏木さんを見つめる。

「分かった…、相田部長が言ったのはそれだけだったよ。正直、何を言われるんだろうと身構えていたから力が抜けてしまった。二人が真剣ならば、俺は身を引くしかないだろうって寂しそうに相田部長は笑った。」

そこで柏木さんはビールを飲んだ。

「その時に思ったんだ。きっと部長は陽さんの幸せを一番に考えているんだなって。」

お姉ちゃんが口を開いた。

「部長は相手に会わせろと言ったの。それをしないと別れないし、相手をどんな手を使ってでも突き止めるって。それで私、少し怖くなって…。」
< 155 / 478 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop