運命の出会いって信じますか?

柏木さんはその大きな手で、お姉ちゃんの頭を撫でる。

「陽さんが今どうしたいのか、ちゃんと部長に伝えておいで。私…、俺は陽さんの意志を尊重したい。例えその結果、陽さんがやはり俺より部長を選ぶことになったとしても、俺はそれを受け止めようと思う。」

あっ。

英輔がタイに飛び立つ空港で私に言ったセリフと微妙に重なる。

「お姉ちゃん、私帰るわ。」

ここに私が居てはいけない。

あの時、英輔に私は返事をする事なしに、英輔を旅立たせてしまった。

お姉ちゃんにはちゃんと今晩柏木さんと話をして欲しい。

とっさにそう思って、私は立ち上がった。

「はっ、華?」

「華さん?」

二人が同時に私を呼んだ。

しかし柏木さんは私に優しく微笑んだ。
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