運命の出会いって信じますか?

「ありがとう。」

私の意を分かってくれたのか、柏木さんはさらにうなずいてくれた。

「俺は陽さんとちゃんと話し合うから。」

私は静かに柏木さんにうなずく。

「お姉ちゃん、ちゃんと事後報告は忘れずにね。」

私は二人に笑いかけると、居酒屋を後にした。

ちょっと不満げなお姉ちゃんの顔をチラリと確認してから。

電車に乗りながら、柏木さんとお姉ちゃんの姿を思い浮かべる。

二人を見ていると、くすぐったくなる。

あんな可愛いお姉ちゃんが見られて嬉しい。

でも柏木さんの話を聞いていると、その部長さんも悪い人ではないような気がする。

その話を信じれば、その部長さんにとってお姉ちゃんは大事な人なんだろう。

お姉ちゃん自身は柏木さんとの出会いが無ければ、部長さんと別れる理由が見い出せなかっただろう。
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