運命の出会いって信じますか?
3
「もしもし。」

私は恐る恐る英輔に電話を掛けた。

今は夜の11時。

タイとの時差は2時間だから、向こうは夜の9時。

英輔が会社から戻っているかは微妙な時間。

「今戻って来たところだ。何だ?いつもより電話の間隔が短くないか?」

そう、私がこの前英輔に電話を掛けてから、半月しか経っていない。

「だって、あんなメールもらったら…。」

こんな私だって、英輔の声が聴きたくなっちゃったのよ…なんて可愛い事は決して言えない。

「本当は電話で直接華にプロポーズしたかった。でも何より早く伝えたくてさ。勝手に手が動いていたよ。」

普段はあまり動揺しない英輔の声が、かすかに興奮しているような気がする。

「それに直接華にバッサリと断られたら、俺は立ち直れない。」

電話の向こうで、苦笑いをしている英輔の表情が目に浮かぶ。
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