運命の出会いって信じますか?

彼は自分が何を言っているのか分かっているんだろうか…。

空いた口がふさがらないと言うのは、こういう事なんだろうか。

でも彼の視線を外せない。

そして私の口からは一言も言葉が出ない。

「来週の配達の時に伝えるよ。これは決定事項だ。」

妙に余裕のある彼の表情。

「…行かないわよ。」

私の口からやっと出た素っ気ないセリフ。

「野々村陽って華さんのお姉さんだよね?」

お姉ちゃんの名前を出されて、私は思わず彼の顔を見返す。

「ちょっと、私のお姉ちゃんとどういう関係?」

「ん?それは一緒にデートしてくれた時に話す。」

彼は意地悪そうに笑った。

私は不思議そうな表情のまま、無言だった。
< 163 / 478 >

この作品をシェア

pagetop