運命の出会いって信じますか?
「ここ数日でもう一件契約を取ってくる予定ですから。」
私はそんな増本君を手で了解の合図を送りながら見送った。
「まるで嫌がらせね。」
横で真美がくすくす笑っている。
「でも増本君なりの優しさにも見えるから不思議ね。」
真美はそう付け加えた。
「んっ?」
私は真美の方を向いた。
「今週末に日下君が名古屋支社に寄るんでしょう?そんな今ならきっと華の仕事の能力は上がるだろうからね。だから仕事を押し込んでも大丈夫だと思ったんじゃない?それが彼なりの嫌がらせ。」
クスッと真美は笑うと言葉を続けた。
「でも書類や伝票が早く処理出来たら、週末は残業なしで帰れるだろうから。だから契約を前倒ししてきたのよ、きっと。それが彼なりの優しさね。」
「あっ…。」