運命の出会いって信じますか?
「はい!」
自分の名前を叫ばれ、反射的に返事をする私。
「これ以上俺が華と離れている事が出来なかったんだ。こう言えば、鈍感な華でも分かってくれるのか。」
妙に声を殺して言う英輔の顔はやはり怖い。
「でも…、栄転を断わらせるぐらいなら、私は英輔の為に何だって我慢できる。」
私の気持ちを英輔に伝えたい。
英輔の仕事の邪魔はしたくない。
英輔が仕事に一生懸命なのは、誰より私が分かっているつもりだから。
「違う。華がそばに居てくれないと、俺にとって東京本社も昇進も何の魅力も感じない。華と一緒じゃないと意味がないんだ。」
投げ捨てるように英輔は言うと、立ち上がって私の後ろに立った。
そして後ろから私を抱きしめる。
「華が居ないとダメなんだ。この2年頑張れたのは、少しでも早く華のそばに戻るためなんだ。もう華が居ないと頑張れない。」