運命の出会いって信じますか?
少し拗ねたようなその言い方。

「…私だってそうだよ。もうずっと英輔のそばに居たい。英輔が東京本社に行くのなら、会社を辞めてついて行く事も出来たのに…。私が英輔の昇進を邪魔しちゃった…。どうして先に相談してくれなかったの?」

私の首に回された英輔の腕を、私はぎゅっと掴む。

「華…。」

英輔が私の首元に頭をうずめる。

「華が仕事を辞めるなんて、俺にはそんな事をさせたくなかった。結婚でもしていれば一緒の異動も考慮してもらえるからな。とにかく…。」

英輔の腕に力がこもる。

「結婚しよう。帰ってきたらすぐにだ。」

「英輔…。」

その瞬間、英輔は私の横に立った。

「えっ?」

英輔は椅子ごと私を自分の方に向ける。

そして私を抱き上げた。
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