運命の出会いって信じますか?
私と英輔は同時に振り返る。
そこには柏木さんとお姉ちゃん。
今日はどこかで待ち合わせをしてから、ここへ来たのだろう。
二人は腕を組んでいた。
英輔と私の視線は自然にその腕に視線がいく。
お姉ちゃんがその事に気づいたようで、さり気なく柏木さんの影に隠れる。
「陽さん?」
柏木さんが不思議そうにお姉ちゃんを見下ろした。
「お姉さん、お久しぶりです。でもお姉さんのそんな姿、初めてです。」
英輔にこう言われ、お姉ちゃんは顔を一瞬しかめたが開き直ったようだ。
「英輔君にそんな事言われたくないわ。タイに行く時にあんな顔していたくせに…。」
すっかりいつもの様子に戻ったお姉ちゃんに、柏木さんが笑う。
「しおらしい陽さんより、飾らないいつもの陽さんの方が良い。」