運命の出会いって信じますか?
「俺はここで華の表情を感じたかったんだ。」
私はゆっくりと歩く英輔の後をついていく。
「華は覚えているかい?俺が会社の最終面接で華に一目ぼれをした事を。」
そう、その話なら何回英輔から聞いた事だろう。
「あの初デートで俺はずっと華の表情ばかり見ていた。面接の時のように安心した笑顔をちゃんと見せてくれるだろうかとそればかり考えていた。やっともう少しと感じた時、このお化け屋敷に入った。」
英輔があの時そんな事を考えていたなんて、全く思いもしなかった。
「華は俺の手が離れた時、涙を流しただろう。」
英輔のその言葉に私はハッとした。
気が付かれない様にしていたはずなのに。
そしてその事に触れてこなかった英輔に気が付かれなかったんだとばかり思っていたのに。
「ここだと思ったんだ。俺の気持ちを伝えるのは。ううん、ここで伝えられないのなら華を諦めないといけないような気がして…。」
私の手を握っている英輔の手に力がさらに加わる。