運命の出会いって信じますか?
「そんなにうまくはいかないよ。」

私はチラッと英輔を見た。

「さあ、そろそろ空港に着くよ。」

柏木さんが会話を中断するかのように言った。

柏木さんとお姉ちゃんは、空港内を回ってくると言って二人で行ってしまった。

まるで英輔がタイに赴任する時と同じ場面。

でもあの時とは全く気持ちが違う。

「こんな穏やかな気持ちでここに二人で居られて嬉しい。」

私は素直にそう言って、英輔を見上げた。

そうでもしないと、涙が頬を伝いそうだ。

「華、これまでの2年間よりもこれからの半年の方が俺には長く感じそうだ。」

英輔のいつもの優しい笑顔も私の涙を誘うだけの今。

「俺が帰ってきたらすぐに結婚式の準備に入る。」

ぐっと表情を引き締めた英輔は私の頭を撫でた。

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