運命の出会いって信じますか?
「華、行ってくるよ。こうやって見送られるのは最後だ。それまでは日本に来られないだろうから。」

ダメだ…。

こらえていた涙が頬をついに伝った。

「そんな顔をするな。寂しくなったらメールでも電話でもして来い。」

英輔はそう言って、歩き出した。

「…行ってらっしゃい。」

そう言うだけで精一杯の私の声が英輔の歩みを止めた。

「華!」

振り返って私の方に走ってくる英輔。

いつの間にか私も駆け出していた。

「待っていろよ。」

英輔はそう囁いて、私の額にキスを落とした。

私はポロポロと出る涙をぬぐう事も出来ずにうなずくだけ。

それに英輔もうなずくと、今度は一度も振り返らずにその姿を消した。
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