運命の出会いって信じますか?
そう、あの時は空港で英輔がくれた言葉がただ嬉しかったから。
英輔のいない寂しさもあったけど、仕事をおろそかにすることを嫌う英輔の事を思うと、自然と仕事ははかどっていた。
でも今回は…。
あんなに濃い数日を過ごしたせいか、胸にぽっかりと穴が開いたようなのだ。
意識をしないと手が止まってしまう。
つい英輔の事に気持ちが持っていかれてしまう。
「仕事なら俺でもフォロー出来ますから。」
そうニッコリ笑って、増本君は営業に出掛けて行った。
「ねぇ、本当に体調は大丈夫?ちょっと顔色が悪いよ。」
真美は心配そうに聞く。
相変わらず残業も多い。
「うん、英輔の事でこんなに腑抜けになるとは思わなかった。」
増本君が居ると言いにくい本音も、真美にはつい言ってしまう。