運命の出会いって信じますか?

そう、あの時は空港で英輔がくれた言葉がただ嬉しかったから。

英輔のいない寂しさもあったけど、仕事をおろそかにすることを嫌う英輔の事を思うと、自然と仕事ははかどっていた。

でも今回は…。

あんなに濃い数日を過ごしたせいか、胸にぽっかりと穴が開いたようなのだ。

意識をしないと手が止まってしまう。

つい英輔の事に気持ちが持っていかれてしまう。

「仕事なら俺でもフォロー出来ますから。」

そうニッコリ笑って、増本君は営業に出掛けて行った。

「ねぇ、本当に体調は大丈夫?ちょっと顔色が悪いよ。」

真美は心配そうに聞く。

相変わらず残業も多い。

「うん、英輔の事でこんなに腑抜けになるとは思わなかった。」

増本君が居ると言いにくい本音も、真美にはつい言ってしまう。

< 261 / 478 >

この作品をシェア

pagetop