運命の出会いって信じますか?
私は慌ててスマホを取り出すと、翻訳のアプリを探す。

「一生君だけを愛している。」

声に出てしまった言葉が、私の中で何度も繰り返される。

さっきまでの憂鬱な気持ちがいっぺんに吹き飛んだ。

どんな気持ちで英輔はこれをここに書いたんだろう。

必ず私が見るはずの冊子。

しかしその言葉は最後のページのほんの隅に走り書きしてある。

私はこのタイミングでそれを見つけた事をとても偶然とは思えなかった。

その言葉の上に私はキスを落とす。

そしてその冊子をもとに戻すと、さっきとは全く違った気持ちで動き出した。

ピンポーン。

それから妙に集中してしまって、どれだけ時間が過ぎたのか分からなかった。

私はハッと顔を挙げた。

そのまま玄関に掛けて行った。

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