運命の出会いって信じますか？

「そうだよ。君は事務だよね。」

そんな風に笑う彼がとても私に気を使ってくれているのが分かった。

お蔭で名古屋までの新幹線の中、私達はお互いが声を出して笑えるほど親しくなった。

彼の気遣いが、警戒心の強かった私を徐々に解きほぐしていく。

名古屋駅に降り立つと、私は彼に言った。

「岐阜方面なら出口が別になるから、ここでお別れね。楽しかったわ。これからも名古屋支社の同期としてよろしくね。」

知り合いの同期が居るって心強いなって思って出た言葉だった。

すると彼は何とも複雑な表情をした。

「連絡先ぐらい交換しない？」

週明けにすぐに彼と会社で顔を合わせるんだろうなと思っていた。

だから連絡先を交換するなんて思いつきもしないで…。

思わず彼の顔を見上げた。