運命の出会いって信じますか?

「野々村華さん?」

生都くんはそれまでずっと握っていた私の手を離すと、私の顔を覗きこむ。

そして私の泣き顔を見て微笑んだ。

「見ないでよ。思いきり泣かせてよ。」

ひそひそ声で怒る私。

でもそのまま生都くんの顔は近づいて…。

どうしたんだろう。

こないだのように抵抗が出来ない。

長い間、唇を塞がれていたような気がした。

見開いていた目を、ゆっくりと閉じた私。

「今度はひっぱたかれるかと思った。」

唇が離れると、そうニッコリと笑う生都くん。

その瞬間、映画のテーマ曲が流れ、しばらくすると室内が明るくなった。

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