運命の出会いって信じますか?
「一番イイところ見損なったじゃない。」

私は生都くんを睨んだ。

「きれいなキスシーンで終わったよ。」

シラッとした顔をして、椅子の背に身体を押し付けて、腕を組んでつぶやく生都くん。

「亡くなったヒロインの所に恋人が駆け付けてキスしたところで終わったよ。…俺達がキスしたみたいに。」

生都くんの真剣な熱い視線が痛い。

「さあ、ここを出よう。」

また生都くんに手を引かれ、私は立ち上がる。

「野々村華さんの彼より俺が先に知り合っていたら…、同じように8年間を一緒に過ごす事が出来ていたら…、野々村華さんは俺を選んでくれていたかな。」

さっきまでの私の余裕がどこかに行ってしまっていた。

妙に動揺している自分に、驚いている私が居る。

その時、私の身体がふらついた。

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