運命の出会いって信じますか?
さっきのメモと違って、丁寧に一文章一文章書いた思いが伝わってくる。

かなり不器用な文章ではあるけれども。

「なりと」ってこういう漢字だったんだな。

彼の顔が浮かんできて、私の頬に涙が伝う。

「華、赤ちゃんがあいつを止めてくれたんだな。」

ポツリと英輔がつぶやいた。

生都くんの事は産婦人科の待合室で話した。

「うん、取り返しのつかない事になっていたかもしれないね。」

私はそう言いながらも、決して生都くんはそんな事をしなかっただろうと信じている。

「俺は華とあいつに何かがあったとしても、華をあいつに渡す事はなかったけどな。」

余裕の笑みで英輔が笑う。

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