運命の出会いって信じますか?
その度に恥ずかし気もなく、英輔は言う。

「俺は華に出会う為にこの会社に来たんだ。俺は運よく研修で隣に座った華に気が付いていた。でもどうやって話しかけようかとそればかり考えていた。」

「英輔…。」

私はスマホを握り直す。

「お願い、早く帰って来て。もうずっと一緒に居たいの。」

スマホの向こうでフッと笑う英輔を感じる。

「あと半年だ。今回の異動は少し引継ぎに時間が足りない。だから次の異動で確実にそちらに…、名古屋支社に帰れるように、優先的に考えてもらえるらしい。」

「えっ、今回の異動で戻って来るんじゃないの?」

私は慌てて聞いた。

「へぇ~、華がそんな事を言ってくれるなんて嬉しいね。でも今からじゃ仕事が中途半端になってしまう。それにこっちの生活をすべて引き上げないといけないからな。でも次の異動には必ず帰る。」

「分かった。」

私は返事をする。
< 32 / 478 >

この作品をシェア

pagetop