運命の出会いって信じますか?
「2か月後にお父さんが還暦を迎えるのよ。うちでお祝いしようってお母さんと話しているんだけど3人で来られないかな?」

「うわ~、行く。」

私は思わずそう叫んでいた。

「ちょっと大変かもしれないけれど、金曜日の英輔君の仕事が終わり次第こちらに来たらどう?夜の移動なら真先も寝ちゃうでしょ。」

お姉ちゃんがそう言った。

その瞬間、私は電話口で大きな声を出した。

「真先!」

真先は私が目を離した隙に、飲んでいたお茶のコップを逆さにしたのだ。

「あ~あ。」

思わず諦めた声を出す私。

少し残っていたお茶が頭からかかり、真先はきょとんとしている。

「真先は男の子だけあって、大変そうね。」

電話の向こうでお姉ちゃんが笑っている。

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