運命の出会いって信じますか?

真先は不安そうに私を見上げる。

すると木下さんは私達夫婦に言った。

「私が真先くんの気を引きますので、その隙にお仕事に行って下さいね。」

そして木下さんは、真先を見た。

「真先くん、向こうで遊ぼうか~。」

好奇心旺盛な真先は木下さんに手を引かれて歩き出す。

木下さんが私達に合図を出した。

私は英輔とうなずき合うと、そっとそこから離れた。

どうも初日は真先に泣かれずに済んだようだ。

「あっけなかったな。泣かれるかと思った。」

ちょっとホッとした様な英輔の表情。

「少し寂しいな。」

私は託児所の入口を振り返る。

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