運命の出会いって信じますか?
「真先には真先の世界が出来るって事だな。それより総務部まで案内するよ。」

所々ですれ違う人に、英輔は軽く挨拶をしている。

「私、大丈夫かな。」

「あれ?思ったより弱気じゃないか、華。」

私を振り返る英輔。

「真先と離れるのも、新しい仕事もすごく不安。」

英輔が私に微笑んだ。

「そんな弱い姿は俺以外に見せるなよ。」

そして総務部の前で止まり、周りをきょろきょろすると、私の頬にキスをした。

「大丈夫だから。」

英輔はそう言うと、総務部のドアを開ける。

「おはようございます。塚田部長、連れて来ましたよ。」

「ああ、おはよう、日下。」

ニコニコと笑う人の好さそうな中年の男性が一番奥のデスクで手招きをした。

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