運命の出会いって信じますか?
「さっ、華。」

私は英輔に促され、そのデスクの前に立つ。

「私の妻の華です。今日からよろしくお願いします。」

そう言って頭を下げた英輔に倣って、私も横で頭を下げた。

「そうか、君が日下華さんか。君の噂は名古屋支社の細野課長に聞いているよ。彼とは東北支社で一緒に仕事をしていた事があってね。」

そして何とも楽しそうな笑顔を、塚田部長は浮かべた。

「日下もやり手だが、それを支えたのはコンビを組んでいた事務の力だってね。」

私自身はそんな事を思った事もなかった。

とにかく山のように契約を結んでくる英輔に迷惑を掛けない様に、必死に付いて行っただけだ。

私は思わず英輔の方を見た。

「その通りです、塚田課長。私が言うのはおこがましいですが、華は使える人間です。」

そして英輔は塚田部長にニッコリと笑い、私を見た。

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