運命の出会いって信じますか?
塚田部長はその微笑みを絶やさずに言った。
「地域柄、名古屋支社が一番契約の種類が多い事が分かった。そこで名古屋支社に打診して、推薦してもらったのが君だったんだ。」
塚田部長は私をデスクに促しながら、話を続けている。
「あの歳で本社の営業課長補佐になった男の太鼓判まであったからな。きっと君なら大丈夫でしょう。」
やっぱり会社の英輔に対する評価は高いようだ。
それにしても英輔は一体私の事をどう話したんだろう。
私は大きく息を吐いた。
「分かりました。私の出来る事から手を付けさせてもらいます。ただ…。」
私が言葉を続けようとすると、塚田部長は一瞬不思議そうな顔をした。
「託児所に1歳8か月の息子を預けています。何かあった時は抜けさせてもらう事になると思いますので、その辺はよろしくお願いします。」
私は立ち止まると、ゆっくりと塚田部長に頭を下げる。
「日下さん、それはここ東京本社では当たり前の事だから安心してくれ。」