運命の出会いって信じますか?
明佳のために付けてあるチャイルドシートを借りて、真先はまた眠りにつく。

「随分お母さんらしくなったね、華ちゃん。」

お兄さんは真先と後ろの座席に乗った私をルームミラー越しに見ている。

「お姉ちゃんはどうですか?私よりお姉ちゃんの方がちゃんと育児を出来るか心配だったんだけど。」

私は少し茶化すようにお兄さんに言った。

「陽は変わったよ。仕事もしっかりこなしてくれるけど、家庭もしっかり守ってくれる。いろいろあったけど、やっぱり陽と結婚して良かったと思っているよ。」

お兄さんはお姉ちゃんにベタぼれだ。

「そうですか。以前のお姉ちゃんなら信じられないけれど。」

お兄さんと私は声を潜めて笑う。

お姉ちゃんは本当に良い人と結婚したなと思う瞬間だ。

「今日は実家の方に送るよ。お義父さんもお義母さんも二人が来るのをすごく楽しみにしている。明日俺達はそちらにお邪魔するから。」

その言葉通り、お兄さんは玄関先でお母さんに挨拶するとすぐに帰って行った。

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