運命の出会いって信じますか?
そんなお兄さんに微笑んで、私達3人はキッチンへ向かう。

「お昼は軽くおうどんにでもして、夕飯はちょっと頑張ろうか。」

お母さんの掛け声に、私達はそそくさと動き出す。

「お姉ちゃんって家事は大丈夫なの?」

私は独身時代に一度一人暮らしを始めたが、家事が出来ないという理由ですぐに実家に戻って来た経歴の有るお姉ちゃんを見る。

「正仁がああいう人だからね。結婚当初はよく我慢してご飯を食べてくれたなって思うほど、ひどい物を出していたわよ。」

あっけらかんとお姉ちゃんは笑う。

「これは謙遜じゃなくて、本当にひどかったのよ。私は正仁さんに申し訳なくて…。」

お母さんはチラッと子供達と遊ぶお兄さんを見る。

「何であんなに良い人が、陽と結婚してくれたのかしらね…。」

溜息交じりにお母さんは言った。

想像を裏切らないその話に、私はお腹を抱えて笑った。

「華、笑いすぎ。」
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