運命の出会いって信じますか?
両親は娘と孫ぐらい養ってやると言う。

お兄さんも自分の会社で私を雇ってくれると言う。

「英輔が亡くなった名古屋には帰りたくないの…。」

でも私は名古屋に帰る事が怖くて仕方がない。

この気持ちを話してしまうと、家族をきっと傷つけてしまうだろう。

ずっと秘めてきた気持ち。

「良く出来ました、華さん。そうやって全部俺にぶつけなよ。それで華さんが落ち着くのなら。」

ふんわりと生都くんが笑う。

私はその事にすごく安心出来て…。

「あれ?背中がすごく重たくなってきたんだけど。」

生都くんが後ろを振り返る。

真先が生都くんの首にぶら下がりながら、生都くんの背中とソファの背に挟まれて眠ってしまったようだ。

「やだ、真先ったら。」

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