運命の出会いって信じますか？

「すごく都合の良い事を言っているのは分かっている。でも…。」

それ以上言わせないとでもいう様に、生都くんは私の手を握った。

「良いんだよ、それで良いんだよ。とにかく子供達の事を一番に考えよう。」

生都くんは少しはにかんで、でも嬉しそうに微笑んだ。

「ずっと華さんの様子を見ていて、俺がそばに居るという事で華さんにプレッシャーを与えているんじゃないかって心配していたんだ。」

生都くんの表情が変わった。

「俺はあの時無謀な事をしようとした俺を止めてくれた真先くんに返しても返しきれない恩があるんだ。」

私は生都くんが言っている事の意味が分からなかった。

「手紙はちゃんと読んでくれたんだろう？」

「英輔と一緒に読んだわ。」

私はうなずきながら言った。

「俺はあのデートの日に華さんを襲おうと思っていたんだぜ。それをお腹の中で真先くんが止めてくれた。偶然かもしれないけど、すごく俺にとって意味のある事だったんだ。そうでなければ、華さんとこうして顔を合わせる事も出来なかったと思う。」