運命の出会いって信じますか?
私の仕事の方も順調で、私はあの当時英輔の役職だった課長補佐になった。
私が立ち上げた契約検査課も今は10人の大所帯だ。
今はすべての支社の契約書がこの課に集約されるようになった。
生都くんの方も幹部見習いからしっかり見習いの言葉が抜け、知らぬ間に物流課の若き出世頭のようだ。
私はこの頃考えるようになっていた。
このまま生都くんを縛っておいていいのか。
40歳を目の前にしている私に比べて、彼は30代になったばかりのこれからの若者だ。
彼には彼の人生がある。
生都くんを送り出す準備をしなくてはいけない時期に来ているような気がするのだ。
これまでの私はとにかく必死に子供達の事を優先させてきたが、それは生都くんも一緒だった。
それを考えると、私は今更ながら生都くんに申し訳ない気持ちで一杯になる。
英輔、もう私達親子の都合で生都くんに甘えたばかりいてはいけないよね。