運命の出会いって信じますか？
それも懐かしい。

「食事には誘われているけど、付き合っていないよ。」

私は何も考えずにそんな事を言ったのを覚えている。

「そんな感じだよね。何だか日下君、可哀そう。」

真美はクスリと笑った。

「日下君は野々村さんの事、凄く気になっているみたいだよね。」

そんな事を言いながら、真美は自分の事を話し始めた。

「私にはね、一つ年上の彼氏が居るの。大学時代から付き合っているんだけど、私は実家に戻って就職する事を決めたから、別れを切り出したの。彼は関西の会社に就職したし、まだまだ1年目で会社の事で大変そうだったから。」

きっと誰かに話を聞いてもらいたいんだろうな…、その時の私はそう思った。

「そうしたらね、彼の配属が名古屋に決まったの。おそらくこちらで腰を落ち着ける事になるだろうって。それは本当に偶然だったんだけど、その時彼が言ったの。」

そして真美は私の顔を見た。

「俺達は別れる運命じゃなかったんだって。」

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