運命の出会いって信じますか?
私は真美の話の真意はどこにあるのだろうと、真美の目をじっと見つめる。

「私は日下君と野々村さん見ていると、あの大勢の新入社員の中で二人が同じ名古屋支社に配属されたのは、運命なんじゃないのかなって思うの。」

ああ…。

なんて鋭い子なんだろう。

まだ会社での付き合いだけで、日も浅いというのに。

しかも英輔と同じ考えを口にするなんて。

「野々村さんを見つめている日下君の目がそう訴えているような気がするの。野々村さんは、日下君の事をどう思っているの?」

なんて単刀直入に聞いてくる子なんだろう。

私は言葉に出来ずにためらっていた。

その時の英輔の私への気持ちが分かっていなかったと言ったらウソになる。

今真美が使った運命という言葉を、英輔はあの研修の日に使ったのだから。

食事の誘いに応じてしまうと、それにすぐ答えを出さなければいけないような気がして、その事が無意識に断っていた私の理由の一つなのかもしれない。

「そんなに難しく考えないで、日下君の気持ちに答えてあげたら。正直に話してみたらいいのよ。きっとその後で結論はついてくると思うよ。」
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