運命の出会いって信じますか?
英輔の契約内容は多岐に渡っていて、いろいろなパターンがあった。

ベテランの営業さんほど得意な分野があるため、事務の処理も偏ってしまうのだ。

しかし英輔に引っ張られるように、他の営業さんもいろんな契約をしてくるようになったのだ。

新人が頑張っているのに刺激されたようだ。

私は英輔のおかげで、いち早く多岐に渡る事務処理を網羅していたので、それを聞かれる事も多くなったのだ。

いつの間にか私の事務の知識は、広く深く十分な形で身についていたのだ。

「野々村さん。」

会社では私の事をこう呼ぶ英輔が私の座っているデスクにやって来た。

「この処理、頼む。」

デスクの片隅に置かれた書類を見ると、メモが一緒に挟まっている。

-今日は早く帰れそう。外で食べようか。-

私は不自然にならない仕草でそのメモをポケットにしまう。

「日下君、了解。」
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